Secret 年代記

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遠果の章


<第189代国王 ガイ

X.paradox(逆説)

 お前の気配を感じて、私は言ってみる。
 まるでこの城はよどむ川の源のよう。
 川は少しずつ、国を蝕む。
「この国はもう亡びたがっている」
 物珍しいと贈られた、美しい花。
 もう、醜く枯れてしまった。
 あぁ……醜悪なまでに美しい。

『だからこそ、亡びることは決してない』

 お前はそう言うから、きっとそうなのだろうね。
 滅びればいいと思う私をきっと、お前は笑って見ている。
 嘲笑でも苦笑でも失笑でもなく、ただ悠然と……。
 あぁ、お前に会ってみたい。
 それだけの能力(ちから)があれば、それが叶った。
 しかし叶うはずもないね。
 形ばかりの刻の王にさえ、私はなりきれない。
 本物か、偽者か。
 そのどちらでもないのか。
 それどころか、私はここに存在することすら難しい。

 滅びそうで滅びない。
 その均衡の、なんという美しさ。

 けれど私は滅びるだけ。
 もとより美しくなどなかった。
 醜さしか残らない?
 違うよ。
 あまりにも醜いがゆえに、醜さすらも残してはならない。


 亡びたがっている国の代わりに、何が滅びるのだろうね。


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