<第189代国王 涯>
T.monologue(独白)
誰もいない場所。
誰かが何かをするのは、すべてが結局は自分のためだ。
この国のために何かをしようなんて、思ってはいない。
誰よりも、この私が。
こんな国、滅びてしまったほうがいっそ幸せかもしれない。
だって、私は滅びを望んでいるのだ。
いつからか。
そう、それはもうこの国に生れ落ちて、この運命に巻き込まれた時から。
私は王になるべくして生まれたが、王になるべき人間ではなかった。
それは努力や、まして血統にも無縁の絶対的な真実。
……遠く、この私の生きるべき場所へ、たどり着きたい。
刻の支配者よ。
それは、私の宿命から外れた、願いなのだ。
それでもお前は、私が王だと言ったな。
だからここにいる。
私の意志など、一欠けらもないんだよ。
さあ、私を飾るがいい。
決して思い通りにはなるまいよ。
飾り物にさえ、私はならない。
私は王でありながら、王ではないのだから。
この雪に埋もれるように、私はここにいる。
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